この記事でわかること
- 関税とは何か、その基本的な仕組み
- トランプ大統領がなぜ関税を重視しているのか
- 2025年に起きている最新の関税政策の動き
- 関税が日本や世界にどんな影響を与えるのか
目次
関税ってなに?
関税とは、外国から物を輸入するときにかかる税金のことです。
例えば、外国で1000円のゲームを買うとき、10%の関税がかかるとします。
日本に持ち込むときに100円の税金を払わなければならないので、そのゲームは実質1100円になるのです。
なぜ関税があるの?
関税があるのには、大きく2つの理由があります:
- 国の収入を増やすため
- 関税は国の大切な収入源です。この収入は学校や病院などの公共サービスに使われます。
- 自国の産業を守るため
- もし外国の安い商品がたくさん入ってくると、自国の企業が困ってしまいます。関税をかけると外国の商品の価格が上がるので、自国の企業を守ることができます。
関税は「輸入する人」が払います。商品を買う消費者ではなく、その商品を輸入して売る会社が最初に支払います。でも、実際には会社はその分の値段を上乗せして販売するので、最終的には私たちが買う商品の価格が高くなることが多いんです。
トランプ大統領の関税政策とは?

トランプ大統領は「アメリカファースト(アメリカ第一)」という考え方を大切にしています。そのため、アメリカの企業や労働者を守るために、外国からの輸入品に高い関税をかける政策を進めています。
なぜトランプ大統領は関税を重視するの?
トランプ大統領は、次のような理由で関税を重視しています:
- 貿易赤字を減らしたい
- アメリカは他の国から買う物のほうが、売る物よりも多いです(これを「貿易赤字」といいます)。関税で輸入を減らせば、この赤字を減らせると考えています。
- アメリカの工場や雇用を守りたい
- 海外の安い商品が入ってくると、アメリカの工場が閉鎖されて失業が増えることを心配しています。
- 他国との交渉で有利になりたい
- 関税を武器にして、他の国とより良い貿易条件を引き出そうとしています。
トランプ大統領は関税を「外交の道具」として使っています。「関税をかけるぞ」と脅すことで、他の国から譲歩を引き出そうとしているんです。これは「交渉術」の一種とも言えます。
相互関税って何だろう?
トランプ大統領は2025年に「相互関税(そうごかんぜい)」という新しい政策を打ち出しました。
相互関税とは?
相互関税とは、「他の国がアメリカ製品に課している関税と同じ率の関税を、アメリカもその国の製品にかける」という考え方です。
たとえば、もし日本がアメリカからの輸入品に24%の関税をかけているなら、アメリカも日本からの輸入品に24%の関税をかけるというものです。
2025年4月の相互関税の内容
トランプ大統領は2025年4月に以下の関税を発表しました:
- 全ての国に対して: 基本10%の関税
- 日本に対して: 24%の関税
- EUに対して: 20%の関税
- 中国に対して: 104%(最近125%に引き上げ)の関税
関税政策の最新動向(2025年4月)
2025年4月に入って、トランプ大統領の関税政策には大きな動きがありました。
90日間の関税停止を発表
トランプ大統領は4月9日、75カ国以上の国々に対して相互関税を90日間停止すると発表しました。これは、多くの国が報復措置(相手国も同じように関税をかけること)を取らず、問題解決のための協議を要請してきたからです。
停止期間中は基本関税の10%だけがかかります。
中国への関税は引き上げ
一方で、中国に対してはさらに厳しい姿勢を示しました。中国が報復措置をとったことへの対応として、中国製品への関税を104%から125%に引き上げました。
トランプ大統領は「中国が世界の市場に対して示してきた敬意の欠如を踏まえた対応だ」と述べています。
トランプ大統領は「報復しなければ報われる」という戦略をとっています。関税に対して報復措置をとらず、話し合いに応じる国には優遇措置を与え、報復措置をとった国(特に中国)には、さらに厳しい関税を課しているんです。
関税政策が日本や世界に与える影響
トランプ大統領の関税政策は、日本を含む世界中の国々に大きな影響を与えます。
日本への影響
- 自動車産業: 日本の自動車メーカーはアメリカへの輸出が多いため、関税が上がると大きな打撃を受ける可能性があります。
- 電子機器産業: 電子部品や機械など、日本の得意分野の製品にも影響が出る可能性があります。
- 日本の消費者: アメリカからの輸入品が値上がりする可能性があります。
世界経済への影響
経済の専門家によると、高い関税は以下のような影響をもたらす可能性があります:
- 物の値段が上がる: 関税がかかると、輸入品の価格が上がり、消費者の負担が増えます。
- 企業の利益が減る: 輸出が減ったり、部品の値段が上がったりして、企業の利益が減る可能性があります。
- 世界経済の成長が鈍る: 貿易が減ると、世界全体の経済成長が鈍る可能性があります。
研究によると、相互関税を全世界に適用した場合、アメリカのGDP(国の経済規模)は0.3%減少すると予測されています。中国への追加関税を加えると、アメリカのGDPは2.0%減少する可能性があります。
まとめ:中学生にもわかるポイント5つ
- 関税とは外国からの輸入品にかかる税金です。国の収入を増やし、自国の産業を守る役割があります。
- トランプ大統領は「アメリカファースト」の考えから、高い関税政策を進めています。アメリカの企業と労働者を守り、貿易赤字を減らすのが目的です。
- 「相互関税」とは、相手国がアメリカに課している関税と同じ率の関税をアメリカも課す政策です。日本には24%、中国には125%の高い関税を課しています。
- 多くの国に対して、相互関税を90日間停止しました。これは話し合いによる解決を優先するためです。
- 関税の引き上げは、物の値段が上がったり、企業の利益が減ったりする可能性があります。日本の自動車産業などにも大きな影響を与える可能性があります。
よくある質問
Q1: 関税は誰が払うの?
A: 基本的には「輸入する人や会社」が払います。ただし、その分を商品の価格に上乗せすることが多いので、最終的には消費者(私たち)が負担することになります。
Q2: なぜトランプ大統領は特に中国に高い関税をかけるの?
A: アメリカは中国との貿易赤字が特に大きいです。また、知的財産権の侵害や不公平な貿易慣行があると主張しています。さらに、中国がアメリカの関税に対して報復措置をとったことも理由の一つです。
Q3: 日本への関税24%はいつから始まるの?
A: 2025年4月9日に発動されましたが、現在は90日間の停止措置が取られています。この間は基本の10%関税のみがかかります。90日後にどうなるかは、日米間の交渉次第です。
Q4: 関税が高くなると私たちの生活はどう変わる?
A: 輸入品の価格が上がったり、選べる商品の種類が減ったりする可能性があります。また、貿易が減ることで経済全体が縮小し、仕事や給料にも影響が出る可能性があります。
Q5: 関税は良いことなの?悪いことなの?
A: 関税には良い面と悪い面があります。自国の産業を守り、国の収入を増やすという良い面がある一方で、物の値段が上がったり、国際関係が悪化したりする可能性もあります。どちらが大きいかは状況によって異なります。