報道の裏側

【解説】広末涼子さん逮捕で「自称」と報道された理由とは?警察発表の裏側

自称 広末涼子

はじめに
2025年4月8日、俳優の広末涼子容疑者(44)が傷害容疑で逮捕されたニュースが世間を騒がせました。この事件報道で特に注目を集めたのが、当初「自称 広末涼子」容疑者と報じられたことです。

多くの人が「なぜ本人なのに『自称』が付くのか?」と疑問を抱いたこの表現。
今回は、ニュース報道で使われる「自称」の意味と、警察発表から報道までの流れを徹底解説します。

「自称」とは何を意味するのか
警察発表における「自称」の定義

ニュース報道で「自称」という言葉が使われるのは、警察が容疑者の身元や肩書きを公的に確認できていない場合です。

毎日新聞の報道によれば、警察は逮捕した容疑者の名前や住所、職業などを発表する際、身分証明書の確認や家族・勤務先への照会を行った上で公表します。しかし、現行犯逮捕など時間的な制約がある場合、これらの確認が間に合わないことがあります。そのような場合に「自称」という言葉を付けて発表するのです。

警察は人違いや詐称を防ぐため、通常は身分証明書の確認や、家族・勤務先への照会をしてから発表する。しかし、身分証明書を持っていなかったり、深夜や休日で関係者に連絡がつかなかったりする場合も多い。そういう場合には、あくまで本人が言っている内容を『自称』として発表するのだ。

毎日新聞


広末涼子容疑者のケース

広末涼子容疑者の場合、逮捕された時点で運転免許証などの身分証明書を所持していなかったため、静岡県警は第一報で「自称 女優」「自称 広末涼子」として発表しました。

元東京地検特捜部副部長・若狭勝弁護士の解説によると、「本人が『広末涼子』と言っているだけでは、ウラを取り切れた(確証が取れた)とは言えないので、当初は『自称』という言葉がついていた」とのことです。

「県警によると、広末容疑者は乗っていた車に所持品を残してきた可能性があり、搬送時は身分証明書を持っておらず、親族など第三者による確認ができなかったため」 

Yahoo!ニュース

「自称」が外れるタイミング

静岡県警は8日早朝に「自称」付きで第一報を出した後、午前11時頃に「人定が判明した」として、「自称」を外した発表を行いました。

これは関係者への確認が取れたためと報じられています。「自称」は容疑者本人の言葉だけでなく、警察が身元を確定するための様々な手続きを経て取り除かれるのです。

「自称」が付きやすい職業や状況

個人事業主や芸能関係者

「自称」が付きやすいのは、主に以下のような場合です:

  1. 個人事業主や自営業:第三者による証明が難しい職業
  2. フリーランス:会社員のように組織に所属していない場合
  3. 芸能関係者:芸名と本名が異なる場合が多い
  4. 現行犯での逮捕:確認作業が間に合わない場合

フリーライターの藤田氏によれば、「自称自営業、自称大工、自称飲食店経営、自称作家、自称俳優、自称ユーチューバーなど、個人事業主のために第三者による証明が難しい職業や、プロとアマチュアの境界線があいまいな肩書きが多い」とのことです。

なぜ「自称」という表現が必要なのか

虚偽申告を防ぐ目的

警察が「自称」という表現を使う最大の理由は、誤報や人違いを防ぐためです。過去には有名俳優になりすました容疑者もいたとの報告もあります。

また、警察は事件報道において正確性を期す必要があります。広末涼子のような著名人の場合、その影響力を考えれば慎重に発表する必要があったと言えるでしょう。

報道機関の対応

報道各社は警察発表をそのまま使用することが多いため、警察が「自称」と発表すれば、メディアも同じ表現を使います。ただし、メディア側でも独自の取材を行い、確証が得られれば「自称」を外す判断をすることもあります。

三枝玄太郎氏(元産経新聞社事件記者)は、「県警広報課や各警察署の当直は、広報文をその月の記者クラブの幹事社にファクスで流します。そこから幹事社のA社はB社とC社にファクスを流す、といった役割が決められています」と説明しています。

まとめ:「自称」から学ぶメディアリテラシー

警察発表と報道の関係

広末涼子容疑者の事件から見えてきたのは、警察発表とメディア報道の密接な関係です。警察発表は報道の大きな情報源であり、その表現がそのままニュースになることが多いのです。

「自称」という一言は、警察の情報確認プロセスを表す重要な指標と言えます。この言葉が付くことで、情報の確実性に段階があることが示されているのです。

メディアリテラシーの重要性

今回の事例は、ニュースを読み解く上でのメディアリテラシーの重要性を再認識させてくれました。「自称」という言葉の意味を理解することで、報道内容をより正確に理解することができます。

ニュースを読む際は、このような表現の意味を理解し、情報の確実性を見極める目を持つことが大切です。

よくある質問

Q1: 「自称」が付くのは本人ではないということ?

いいえ、必ずしもそうではありません。本人であっても、警察が身元を公的に確認できていない段階では「自称」が付きます。広末涼子容疑者のケースでも、本人でしたが当初は「自称」と報じられました。

Q2: どうすれば「自称」を付けられずに済む?

身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)を常に携帯することが基本です。個人事業主の場合は開業届の写しなど、職業を証明できる書類を用意しておくことも有効です。

Q3: 「自称」は日本特有の表現?

日本のメディア報道で特徴的に使われる表現ですが、他国でも容疑者の身元確認に関する表現は存在します。ただし、表現方法は国によって異なります。

Q4: 「自称」以外にも警察発表特有の表現はある?

「容疑を認めている」「容疑を否認している」「黙秘している」など、被疑者の供述状況に関する表現や、「住所不詳」「職業不詳」など身元に関する表現があります。


この記事が、報道における「自称」の意味と背景を理解する一助となれば幸いです。メディアリテラシーを高め、ニュースをより深く読み解く力を身につけましょう。